4月は養蜂家にとってもっとも忙しい時期です。
巣箱の中の蜜蜂たちは、12月中旬から2月末までの間はほとんど巣箱から出て活動することはほとんどなく、女王蜂の産卵も止まります。そのため巣箱内の蜜蜂の数は、冬の間が最も少なくなります。
そんな越冬時期を終えて3月を迎えると女王蜂は本格的な産卵を開始し、蜜蜂は活動をし始めます。
そして蜜蜂たちは本格的な活動を開始して1ヶ月ほどで蜂の群れのピークになるという、とても急激なピークの迎え方をします。
そんなピーク時の巣箱の中ではなにがおきているかというと、女王蜂は1日に数千個の卵を産卵し、働き蜂たちはその卵や外勤蜂が運んでくる蜜を格納するための巣を一気造営します。
ただ、その産卵と巣の造営のスピードはすさまじく、一日でも放っておくと写真のように無秩序に造営してしまいます。
さて、そんな忙しい4月の養蜂家のお仕事は、
・ 蜂の数の増加に従い素板をどんど並べていくこと
・分蜂対策をすること
の2点です。
蜂の数の増加にあわせて巣板を並べていくこと
働き蜂たちの巣の造営のスピードはすさまじく、それを放っておくと、
・ 内検の作業ができなくなってしまう
・ 蜜蜂たちの労働力を無駄な作業に費やさせてしまう
・ 蜂の巣を1g造営するのに必要なハチミツは10gであり、ハチミツのロスになってしまう
・ 巣箱が蜜蜂たちにとって手狭になってくると、「分蜂」という巣別れを起こしてしまう
というデメリットがあります。
そのため蜂の数が増えるのに合わせて、「巣板」という管理しやすい巣の造営場所を並べてあげます。
分蜂対策をすること
蜂数が増え群れが大きくなるにしたがって、「巣別れしたい!」という分蜂熱が巣箱内の蜂たちに高まってきます。
分蜂とは、新しい女王が産まれる直前に今までいた女王蜂が群れの半分の働き蜂を連れて飛び立ち新たな巣を探しに巣分かれしてしまうことです。
分蜂がおこると、
・巣箱の蜂の数が半分になってしまう
・巣分けれする蜂たちは、新たな場所を見つけるための腹ごしらえをするため、巣箱内に貯まった蜜をめいっぱい食べてしまう
というデメリットがあります。
大ベテランの養蜂家のなかには
「分蜂をおこさせるなんて養蜂家の恥だ!」
とまでいう人もいます。
ただ、分蜂は蜜蜂の生理現象でもありますし、どれだけ丹念に内検を行ってもおこるときは起ってしまうものなので、決して恥ずかしいこととは思いません。しかし起こってしまった際のデメリットは大きいため、大事な作業であることは間違いありません。
分蜂対策
1 新しい女王の蛹のはいった「王台」という格納庫を壊してしまう
働き蜂の卵や蛹は、無数にある小さなハニカム型の巣の中に格納されて成虫へと育っていきますが、女王蜂はこの「王台」という長く大きい空間内で育てられます。
この王台を破壊することにより新女王の誕生を阻止し、分蜂を発生させなくします。
分蜂群を捕まえる
こちらは私がおすすめしたい方法です。
おそらく100回以上は分蜂群れを捕まえた私の経験上、分蜂の発生するタイミングは午前10時から12時がほとんどです。雨上がりの晴天時などはさらに高確率に起こります。
そしていざ分蜂がおこると、蜂たちは飛び出した巣箱から半径5m以内の木の枝などに密集し固まります。その密集した蜂の塊を網で掬い新たに用意した巣箱内に納めれば新たな群れの誕生です。
仮に全ての蜂を掬い巣箱の中に収納できなかったとしても、女王蜂さえ巣箱に入ってしまえば女王蜂のフェロモンに誘導されてその他の蜂たちも自分から巣箱ないに入ってきます。
こんな単純な方法ですが、失敗したのはほんの数回だったかと思います
分蜂をされてしまうとその年の蜂蜜の収量は減ってしまいますが、蜂問屋から購入すると1群れ数万円もする蜂の群れが一つ増えたわけですから、こちらの方法はお得かと思います。
養蜂家だけの楽しみ
4月に巣箱内の無駄巣を剥がして処理していると、その無駄巣に貯められた蜜が採れます。
これらの無駄巣に貯まった蜜は、時期が早いため完全に糖度が上がり来ていないため長期に保存ができず、販売はできません。
しかしその蜜を舐めてみると、その甘さが軽やかでさっぱりとしつつも、花の香りがとても強く、まるで踊るかのように花の香りが口の中で立ち上がってきます。4月ということもあり、蜜源となる花は桜と菜の花の場合がほとんどであり、桜の雅な香りと菜の花の優しい香りのブレンドです。
冗長的な表現をさけて簡単にいうと、『びっくりするくらい美味しい!』です。
まとめ
今回の記事では4月の養蜂の作業をごあんないいたしました。
4月は各地で初搾りの蜂蜜がで始める季節です。
初しぼりの蜜は香りが高く軽やかな甘さの蜜が多いのが特徴です。
ぜひ、お住まいの近くの自然の軽やかな甘さを楽しんでいただけたら幸いです。
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