<目次>
ニホンミツバチのほうが、養蜂に適しているのでは??
ニホンミツバチとセイヨウミツバチの採蜜量の違い
ニホンミツバチ固有の習性
二ホンミツバチのダニ問題
まとめ
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ニホンミツバチのほうが、養蜂に適しているのでは??
日本の養蜂業では、セイヨウミツバチの飼育・管理が主流です。
私の知る限りではありますが、ニホンミツバチだけで専業の養蜂業を営んでいる方はいまのところ知りません。
それは採取してきてくれる蜜の量がニホンミツバチよりセイヨウミツバチのほうが多いというのが主な理由ですが、それ以外の理由はなにかあるのでしょうか??
ニホンミツバチにはセイヨウミツバチの群を壊滅に至らせ、日々養蜂を悩ませ続ける「ヘギイタダニ問題」は存在しません。
そして人間が手を貸してあげないとセイヨウミツバチを壊滅させてしまう、「秋のオオスズメバチの襲来」にも、ニホンミツバチは自分たちだけで応戦できてしまいます。
そしてそもそもニホンミツバチは在来種であるため、暑さ寒さなど気候や温度に気をかけてあげることなく飼育することもできます。
セイヨウイツバチとニホンミツバチの採蜜量の差に目をつぶれば、なんだかニホンミツバチのほうが養蜂業によさそうな気もしてきます。
それではなぜ、養蜂業の主流がセイヨウイツバチなのでしょう??
今回は、日本在来のニホンミツバチが、養蜂業においてセイヨウイツバチに取って代われるかについて検証したいと思います。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチの採蜜量の違い
ニホンミツバチとセイヨウミツバチの採蜜量の差分についてですが、一般的に3倍の差があると言われています。養蜂業者の私の体感的には、5~10倍はあるような気がしています。
しかし販売価格はニホンミツバチのほうが高価に販売できるため、この採蜜量の差分は、ある程度は埋めることも可能です。
では「業」としてのニホンミツバチの養蜂には、ほかに何かボトルネックとなるような課題があるのでしょうか??
ニホンミツバチ固有の習性
ニホンミツバチ固有のものとして「逃去」という習性があります。
ニホンミツバチは住んでいる周囲の環境が快適ではないと、すぐに引っ越してしまいます。
一度巣を作って生活基盤を築くのは、昆虫であれど大変なエネルギーと手間がかかります。
なぜニホンミツバチは引っ越しを繰り返すのでしょう??
それは蜜を採取するための行動半径が、セイヨウミツバチと比べて狭いからです。
セイヨウミツバチは半径3キロ以内に咲く花に訪花しますが、ニホンミツバチは最長で2㎞、平均で500m以内の花にしか訪花しません。
つまり巣の周囲に蜜源となる花が少なくなってきてしまったら、食べるものがなくなり遊牧民のように次の場所へ移動しなければならないのです。
その一方で、セイヨウミツバチは行動半径が巣箱から3キロと広く、ニホンミツバチ以上に蜜源となる花にアプローチできるためそうそう引っ越しなどしませんし、する理由もありません。
このような特性の違いから、「業」として営む養蜂については、セイヨウミツバチのほうが適しています。
二ホンミツバチのダニ問題
そしてニホンミツバチには「ヘギイタダニ問題」がなかったとしても、「アカリンダニ問題」が存在します。
アカリンダニはニホンミツバチの気管に寄生し蔓延するダニで、セイヨウイツバチのヘギイタダニ同様に、ニホンミツバチのコロニーを壊滅させてしまうダニです。
そして食害問題もあります。ニホンミツバチは、蜜源植物でもないのにレタスをかじってしまう習性があります。そうなってくると、養蜂場の周囲に農家さんがいる場合などはなかなかそこで養蜂を営むことは難しくなってしまいます。
まとめ
以上のようないくつかの理由から、養蜂業においてはニホンミツバチがセイヨウミツバチにとってかわることはなさそうです。
しかし今回の比較は、あくまで人間都合の養蜂についての比較であるため、「どちらが優れているか」というものではありません。
「業」として養蜂を営むにあたった場合の話にすぎません。
ニホンミツバチもセイヨウイツバチも、授粉して周囲の生命の循環に寄与してくれる、「生物界全体の益虫」、「生命の益虫」であることは疑いようがありません。
しかしミツバチは一部の農薬や除草剤には非常に弱く、デリケートな生物です。
今後もミツバチの存続が持続可能な環境の持続性を期待していきたいものです。
この記事を書いた人
西山リョウ
埼玉県東松山市で一雨養蜂園を経営
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