今回は、子供の咳とはちみつについて言及した論文をご紹介します。
咳は気道の刺激や閉塞に対して、過剰な分泌物や異物を取り除こうとする反射反応によって起こります。子供から大人まで幅広い年代において経験があるという点においては、ポピュラーな症状の一つだと言えるかもしれません。
また、厄介なことに子供の咳というのは睡眠や遊び、食事にも影響を与えることがわかっています。場合によっては、家族の睡眠を妨げることだってあるのです。
通常、急性の上気道感染症(URTI)によって引き起こされる咳は限定的ですが、慢性的な咳になると8週間以上続くことがあります。そして、このURTIは、学童期の子供では年間を通して7〜10回ほど経験します。
このように、咳は身近であるが故に、プライマリケア領域における最大の懸念事項となっています。
こちらの論文においては、URTIの症状の一つとして咳がある1〜6歳の子供をもつ親を対象に、その重症度を測定する2つのアンケートを用いて咳を評価しています。その結果、2つの独立した咳スコアは相関していたものの、子供または親の年齢と性別との関係はみつかりませんでした。
また、この調査では子供の咳の治療のため、はちみつとプラセボを比較した試験が一般的に受け入れられするかどうかについても検証しています。
試験では、登録した40人について平均年齢は32歳、子供の年齢は3歳となっています。そのうち88%が試験に参加する意思があることが示され、39人が蜂蜜を使った子供の咳の治療に満足していました。
咳を治療するための市販の咳止め薬には、抗ヒスタミン薬や鎮咳薬といったものがありますが、これらの製品がプラセボと比較して効果的であるというエビデンスは示されていないにも関わらず、イギリスでは2009年において4億3720万ポンドの市場がありました。
加えて、咳止め薬を6歳未満の子供に使った場合、鬱血除去薬は不整脈、抗ヒスタミン薬は幻覚、鎮咳薬は意識低下の副作用を起こし得ることがわかっています。
英国医薬品庁(MHRA)は、6歳未満の咳に苦しむ子供達は、はちみつやレモンなどの単純な咳止めシロップで治療されるべきであると助言しています。
1歳未満ではボツリヌス菌に対する免疫力が低いため使用が禁止されていますが、はちみつは傷の治療や治癒過程を助けるためにも使われているなど広く重宝されているのです。
<参考文献>
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3718232/
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