ヨーグルトなどに落とされる美しい金色のはちみつは、今も昔も私たちの舌を楽しませてくれるものです。
今回はこのはちみつの歴史と、輝かしいエピソードについて解説します。
はちみつの起源は紀元前6000年ごろにまでさかのぼれる
はちみつの起源は、実に7000~8000年ほども前にまでさかのぼることができます。紀元前6000年ごろの壁画に、「はちみつを採取する人間の姿」が描かれているのです。壁画が描かれた時代が紀元前6000年前とのことですから、ひょっとしたらそれよりももっと前の時代からはちみつは採取されていた可能性もあります。
そしてそれより1000年後の紀元前5000年ごろには、すでに現在の「養蜂家」の祖が現れていたとされています。太古のロマンを感じさせるギリシャ神話においても、「養蜂の神様」が登場していて、昔からはちみつが人々に愛されてきたものであることが示されています。
歴史の授業で必ず習う歴史書「日本書紀」は奈良時代に著わされたものですが、このなかに、はちみつのことが書かれています。627年にはみつばちと思しきはちが描かれ、そして643年には「百済人が今の奈良県で養蜂を使用と試みたが、どうにもうまくいかなかった」という記述がみられます。ちなみに739年には「海外からはちみつが貢ぎ物としてもたらされた」という記載があります。
なお、日本の歴史上もっとも有名な恋愛小説のうちのひとつである「源氏物語」においては、「はちみつで練り上げたお香」が出てきます。
ただしこのような時代においては、「はちみつ」はまだまだ庶民にとって縁と負い存在でした。江戸時代になるとより本格的な養蜂が行われるようになりましたが、それでも、はちみつが庶民の口に入るようになるには明治時代まで待たなければなりませんでした。
古代の女王も愛した「はちみつ」という高貴な存在
このような歴史を持つはちみつは、かつて、歴史を動かした一人の女王に深く愛されました。その女王の名前はクレオパトラ、現代でも「世界三大美女」として称えられているエジプトの女王です。彼女は数多くの化粧品を使っていましたが、その化粧品としてはちみつが用いられていたとされています。
また、はちみつを使ったお酒である「ミード酒(はちみつと水、酵母菌を利用して作る酒。長い歴史がある)」をクレオパトラが飲んだとする説もあります。
クレオパトラはさまざまなエピソードに彩られた女王ですが、彼女のその高貴な美しさにはちみつが寄与していたのかもしれないと考えるのは、なんとも面白いことなのではないでしょうか。
また、キリスト教の聖書には「乳と蜜が流れる地」という表現があります。これは「約束の地」とも呼ばれるところで、肥沃で飢えることのない土地を指していたとされています。
ここで出てくる「蜜」については、「はちみつそのものを指すわけではない。デーツなどを指している言葉だ」とする解釈があります。
しかしその一方で、「ここでいう『蜜』もまた、はちみつのことを指している」と指摘する声もあります。それを証明するかのように、この土地で紀元前10~11世紀ごろの養蜂場の跡が見つかったと取り上げている専門サイトも存在します。
この時代に生きていた人は、今はだれも存在しません。そのため、これらのエピソードが本当にあったものかどうかを、本当の意味で「判じる」ことができる人はいません。
しかしはちみつという黄金色の美しい食べ物が、このようなエピソードで語られるほどに特別で高貴なものであったことは、疑いようがありません。
現在ではだれもが気軽に手に入れられるようになったはちみつですが、このような歴史的背景やエピソードを知ってから口に運ぶと、なお味わい深いものとなるのではないでしょうか。
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