養蜂家がオススメするはちみつ

春が訪れるとミツバチは動きだし、養蜂の季節のスタートです。

4月の後半になれば、今年採れたはちみつもお店に並びだすころ。

しかしはちみつといっても、菜の花からリンゴの花、アカシア、ソヨゴ、栗の花、蕎麦の花から百花まで様々な種類のはちみつがあります。

そのなかで、今回は養蜂業者である私が是非たべて頂きたいとオススメするはちみつをご紹介できたらと思います。なかなか見かけない蜜なので、見かけたら即買いしてほしいくらいです。

いうまでもなく味の良し悪しはきわめて主観的なものではありますが、はちみつが欲しくなってどれにしようかと迷ったときの、ちょっとした参考にしていただけたら嬉しいです。

はちみつには色々な種類がある

はちみつ大学を定期的にご覧になっている方だと既に知っている方も多いかもしれませんが、思い出すための復習です。

ニホンミツバチは基本的に百花蜜という、色々な種類の花蜜が混在したはちみつを生成しますが、セイヨウミツバチはひとつの種類の花の蜜を生成することができます。

セイヨウミツバチは巣箱の中でどこに花が咲いているかという情報を皆で共有し、その花ばかりを狙うという行動特性があるからです。

また、蜜源となる同じ種類の花がたくさん咲いていなければ、いろいろな花蜜が混じった百花蜜になります。

花によって味と香りが全く違う

はちみつは大きく分けて果糖とショ糖の2つで構成されていますが、その割合は採れた花により違います。そしてその果糖とショ糖に採れた花特有の酵素や香りが微成分として加わるので、採れた花によってその味は全くちがったものになります。

一般的に人気のはちみつ

日本で一番人気のはちみつといえば、なんといってもアカシアのはちみつではないでしょうか。半透明でクリアな美しい見た目に、クセのない香りと味わい。

小売販売ではそこまで大きな価格差はないものの、はちみつ買い取り業者に卸すときには百花の4倍くらいの高値になることもあります。

そして多くの養蜂家が所属する養蜂協会では毎年はちみつ品評会というものが開催されるのですが、そこでは「アカシア部門」というアカシアに特化した品評会もあるくらいです。

多くの養蜂家はアカシアの咲く5月始めに照準をしぼって蜂の群れが大きくなるように育てたりします。

ただ採取するのはそれほど難易度は高くありません。河川敷などによくさいている花種であり、蜜蜂のコロニーが一番大きくなる季節とも合うためです。そして蜜をたくさんだしてくれる花でもあります。

参考までに、人気がない花の蜜は栗の花でしょうか。

独特の香りと酸味があるため、苦手なひとも多くいます。

心配性の養蜂家のなかには、百花蜜のラベルに注意書きとして「栗の花もはいっています」と表記することもあるくらいです。

個人的には栗の蜜はそんなに悪くはないとは思うのですが。

オススメのはちみつ

そんななか一番オススメのはちみつは、なんといっても「桜」です。

これは「別物」と言ってもよいかもしれません。

瓶を空けてその立ち上げる香りを楽しんでみると、桜の花がふわりと香ります

そしてまるでシナモンのような甘いスパイシーな香りも潜んでいます。

あまりに美味しかったことと、シナモンの香りににていることが不思議で調べてみたところ、桜の花とシナモンには「クマリン」という芳香成分が含有されているそうです。

そしてそのクマリンには鎮静作用・リラックス効果・睡眠促進効果があるようです。

オススメですが、手に入りずらい

美味しいうえにリラックス効果まである桜の蜂蜜。

手に取ってみたくなってもここにひとつの問題があります。

それは希少性が高くあまり販売していないことです。

つまり、技術的・季節的な問題で桜の蜜はあまり採れないということです。

というのも、越冬して巣箱内に閉じこもっていた蜜蜂たちが本格的に訪れる花を始めるのは気温が暖かくなる3月ころです。

そして桜の花が咲くのは地域により差があるのですが、参考までにそれを日本の標準的な気候である関東地方としたら、3月末くらいでしょうか。

となると、桜が咲くまでのたった一カ月で蜂のコロニーを採蜜できるくらいの大きさにしなければなりません。

これは難易度が高い作業です。

また一般的にミツバチのコロニーが最盛期を迎えるのは5月なので、その一か月以上前に蜜をしぼるまでにコロニーを仕立てあげるにはその技術とともに、「3月中は天候的に恵まれた」という運も必要です。

私も毎年は採れません。

まとめ

今回はオススメな桜のはちみつをご紹介いたしました。桜の単花蜜はそうそうお目にかかれないので、見つけたときは手に取ってみるのをオススメいたします。

最後に一部の人に一番人気でありながらも、一般的に一番人気のない賛否両論の蜜をご紹介すると、それは蕎麦の蜜です。

墨のように黒く、口にするのを躊躇してしまう香り。

ただ、含有されている健康成分は頭一つ抜けているという蜜です。

「良薬は口に苦し」なのでしょうか。

これも好奇心高めでチャレンジングな方にはオススメです。

                        可憐な蕎麦の花。白い花から黒い蜜を出す

西山リョウ

埼玉県東松山市で「一雨養蜂園」を経営

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