いよいよ本格的な採蜜シーズンがスタート!5月の養蜂家

一年の花歴の端緒となる梅や桜も終わり、様々な花が本格的に咲き始める5月。

この5月はいよいよ採蜜シーズンのスタートです。

養蜂家はこの一か月のために蜂を飼育・管理していると言ってもいいでしょう。

どれだけ多くの蜂蜜が採れるのか。採れた蜂蜜の量は、一年間の養蜂技術の成績表とも言えます。

花によって蜜の味や色は異なります

ご存じの方も多いかもしれませんが、復習としての確認です。

蜂蜜は、採れた花によりその風味や味・香り、色が異なります。

そしてその色に関して着目すると、一年を通して春に採れた蜜は薄い色であり、夏から秋へと季節が進むにしたがって色が濃くなっていきます。

春に採れたアカシアは水のように透明であり、初夏に咲く栗の花は茶色、そして秋に咲く蕎麦の花の蜜は墨のように黒色です。

左から「アカシア」、「春の百花」、「栗」、「蕎麦の花」の蜂蜜                                                

 

採算を重視するなら、狙うのは「アカシア」一択 

養蜂家にとって、アカシアの蜂蜜は特別です。

養蜂協会等で開催される品評会においては、「アカシアの部」という部門賞があります。

アカシアの蜂蜜は透明であればあるほど純正で高品質な蜂蜜とされていて、どれだけ透明な蜂蜜を採れるか競い合っています。

ちなみに品評会には「菜の花」や「百花」などの部門もありますが、「アカシア」の部門が一段上に見られており、養蜂業においては花形とされています。

そして収益性でみると、蜂蜜買取業者に販売した際にはアカシアのg単価は2.0円 、百花蜜は0.5円での買取りとなっていることが多く、百花蜜の4倍となっています。 

                                                         

どうしたらアカシアの蜂蜜を狙えるの?

アカシアの花が咲くタイミングに、蜂のコロニーの最盛期を迎えさせます。

つまり、アカシアが咲く5月初旬頃まで、分蜂を起こさせずしっかりとコロニーの蜂の数を増やしていくことです。

女王蜂は一日数千個も卵を産卵するので、新しい女王が育てられ、分蜂の兆候である「王台」を見つけて処分してあげさえすれば、自然とそのコロニーの蜂の数は増えていきます。

そしてアカシアの開花とともに新しい巣枠を入れることによりアカシアの蜜以外は入らない状況にし、アカシアが終わると同時にその蜜が貯まった巣枠を取り出します。

養蜂場に咲くアカシアの花

 

採蜜は蜜蓋がかかってから行います

さて、蜂蜜が貯まってきて巣枠がキラキラと光りだすと、ついつい蜂蜜を採取したくなってしまいます。

しかしここは少しの我慢です。

蜜蜂は巣門の前でその羽で巣箱内に風を送り、蜂蜜の水分を飛ばし糖度を高めます。

そして糖度が十分にたかまって、貯蔵性が高まると「蜜蓋」を施します。

この蜜蓋が、糖度が高く美味しい蜂蜜ができた合図です。

上部に覆っている薄い膜が蜜蓋

前面の蜜蓋がベストですが、春は3分の1程度の蜜蓋でも糖度は高く販売できます

糖度を十分に高めるため、巣枠の全面に蜜蓋がかかるのがベストですが、春の蜜はもとから糖度が高いため、3分に1程度の蜜蓋でも変わらず糖度は高く貯蔵性も高いです。

もし前面に蜜蓋がかかるのを待っていると、色々な花の蜜が持ち込まれ「百花蜜」となることが多いため、アカシアだけ、菜の花だけ、といった「単花蜜」を狙う場合は時間をかけずぎないことも大切です。

もちろん、全面に蜜蓋がかかっている場合で単花も可能ですし、経験のある養蜂家はそうしてますが、慣れないうちで「単花」を狙う場合は全面蜜蓋にこだわらなくても大丈夫です。

採蜜時期の分蜂防止の作業は諦めてもいいかもしれません

蜂の巣別れである分蜂は、6月頃まで頻繁に発生します。

ただし、5月の採蜜している時期はそこに時間をかけるのは難しいのが実情です。

慣れていない場合は、コロニーの基本作業である内検という作業に1時間や2時間もかかってしまうこともあります。

「採蜜作業中に分蜂が発生したのを発見してその群れを捕まえた!群れが一つ増えてラッキー!」

くらいの心構えで十分かもしれません。

採蜜の作業中に起こった分蜂

                                                             

まとめ 

5月の養蜂業は一年の作業の集大成ともいえます。

もし量がたくさん採れなかったとしても、自分で蜂蜜を生産したときの感動や充実感は、非常に大きいものがあります。その感動は養蜂業を始めて10年経った今でも続いています。

難しそうだと躊躇してしまうかもしれませんが、慣れてしまえばそんなことはありません。

興味があり始めてみたい方は、その養蜂ライフが充実したものになることを願っています。

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