はちみつは手軽に食べることができる甘味料という役割だけではなく、免疫力をアップします。ですが、具体的に免疫の何に作用するのか、どの種類のはちみつがより効果があるのか、それに関する研究が発表されました。今回は、そんな免疫力アップとはちみつの詳細な研究データに関する内容を紹介します。
風邪になるときの人の体はどうなっているのか?今回の研究の主旨
人間が風邪をひくときは体内にウイルスや細菌が侵入をして、本来の体の機能が働かない状態にあります。人間の体は、36,5度が一般的な平熱であり加えて、体内に豊富な栄養素もあるため、ウイルスや細菌にとって非常に増えやすい環境です。ウイルスや細菌に感染すると体調が悪くなる理由は、体内の細胞が分裂するDNAの増殖機能を利用して、菌が増殖すること、毒素や体が機能するために必要な栄養素を消費してしまうからです。
こうした状態が続くと体の機能維持ができなくなるため、鼻水やくしゃみ、咳といった反応でウイルスや細菌を追い出す、熱を発生させて体内の免疫機能を活性化させて退治させようとします。
古来からはちみつには、風邪の症状を緩和させる力があるとされ、食されてきました。体の機能維持に必要な糖分以外に、免疫細胞に直接働きかける力があると考え、具体的にその細胞が、どのタイミングで機能するかを今回の実験で検証した。
日本国内産のはちみつを使用して行った実験の概要
日本国内産のはちみつを使用して検証のために細胞培養と動物実験を行った。使用するはちみつは、ソバ、クリ、シロハナマメ、クロガネモチ、シロハナセンダングサ、ミカン、トチ、ビワ、フカ、レンゲ、アカシア、百花を使用しました。
それぞれのはちみつの濃度によって差が出ないように、1mg/mlに対照群の糖分を500mg/mlに調整したもの一旦作成し所定濃度で添加して比較した。細胞実験で使用した細胞は、マクロファージ細胞の実験モデルとして使用されている、Raw264.7細胞です。
この細胞を通常の細胞培養で培養し、はちみつと糖分、ポジコンでLPSを加えたものネガコンで生理食塩水を入れたもので培養をしました。培養した細胞を回収し、qPCRによるRNA発現とウエスタンブロット法による免疫に作用するタンパク質の量を解析比較しました。
次に動物実験は、マウスの実験で一般的に使用されているB6Jマウスに、細胞培養の実験結果で有意差が見られた種類のはちみつと生理食塩水を腹腔内投与しました。24時間後にマウスを解剖し、投与によって免疫細胞の増加数を比較するためにトリパンブルーによる細胞数の測定や Dot Plotや表面抗原陽性細胞率を測定しました。
体にある免疫細胞を増やす作用があるかどうか、その種類を特定する研究を行いました。加えて、注射によって集まった好中球が、免疫細胞として活性化しているのかということも表面抗原陽性細胞比率を調べることで判明しました。
実験の結果からわかること
最初の細胞培養の実験で、マクロファージの前駆細胞にはちみつを投与すると、特定のサイトカインの増加が見られた。サイトカインとは、免疫細胞が、細菌やウイルスと戦う際に、応援を呼ぶ体内物質のことで、マクロファージは細菌やウイルスが増加し始めた初期に活発な防御機構を発揮する。
はちみつを加えることで、マクロファージが好中球を呼ぶサイトカインの増加が見られたため、免疫細胞の活性を上げる作用があることが判明しました。特に、クリ、シロハナマメの好中球を増やす作用があることが群を抜いていました。続いて、マウスを使用したは投与による実験は、クリ、シロハナマメのはちみつで腹腔内の浮遊細胞数が増加することが判明しました。
この浮遊細胞の種類を特定するために、FACSを使用して調べたところ、免疫細胞の好中球であることがわかりました。国内産のはちみつは海外の報告とは違う免疫性のサイトカインを介して増加していることも、今回の研究で判明した。加えて、はちみつを加えて増えた免疫細胞は活性化していることも判明しました。
この研究に対する期待
はちみつをマクロファージに加えると、免疫細胞が活性化し、特定のサイトカインが増えることが判明したため、早期の風邪の時点で摂取すると、多くの免疫細胞が活性化し、駆除する力が著しく上がることが明白となった。そのため、はちみつを飲むタイミングは早い早期の段階が望ましいこともわかりました。
はちみつには、ブドウ糖や他の糖分の対照群ではこのような実験結果はなかったことから、はちみつに含まれていると特定の成分が免疫細胞を活性化していることが今回の実験で判明した。次に、風邪予防に関するはちみつの種類ですが、特にクリとシロハナマメが有意に免疫細胞の働きを良くすることがわかりました。
加えて国内はちみつの場合は、海外で報告されている細胞の働きの経路とは別ルートで免疫細胞の働きが著しく上がっていることから、これらの免疫細胞活性作用をより詳しく分析をしていく必要性があります。加えて、同じ種類でも産地による差異にかんしては今後調べ、解明していくことも研究に対する大きな意義もあるテーマと考えられる結果となった。
まとめ
はちみつを摂取することで、風邪の治りが早く加えて免疫力も上がることは民間療法では知られていましたが具体的に何がその要因となっているのか研究テーマとして解明されていなかった。今回の研究は国産はちみつ数種類と一般的な糖分を希釈した溶液を作成し、免疫細胞の一種のマクロファージの実験モデル細胞に投与し、その活性や細胞の状態を調べた。
次に、サイトカインの増加が見られた種類のはちみつを特定した後、マウスに腹腔内投与し24時間後の腹腔内での浮遊細胞数と、その細胞の種類及び活性を調べました。その結果、クリ、シロハナマメはちみつに特に有意な免疫細胞の活性効果があることが判明した。
マクロファージが援軍になる好中球を呼ぶサイトカインの増加を増やす物質を多く産生し、はちみつを投与した腹腔内の細胞が好中球であり、加えてウイルスや細菌をやっつける活性も高いことが判明しました。今後の研究で、海外はちみつにはない免疫細胞の活性を上げる働き含めてはちみつが持つ健康効果において大きな可能性がある研究結果となった。
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