養蜂の基礎(1)~養蜂は春から始めるのが最適です

近年、養蜂に対する興味関心の高まりを感じます。

養蜂は地球環境問題やSDGs関連の話題と親和性が高いというところもあるかもしれません。

私のところにも、「養蜂を教えてください!」という人からの問い合わせや、実際に訪ねてくる方もいます。定年退職して時間に余裕がある人だったり、なかには大学生になったばかりの女性だったこともあります。

養蜂の蜂の用意の方法

では養蜂に興味があったとして、まず最初にその養蜂に活用される蜜蜂はどうするの??

捕まえるの??   というところです。

まず、養蜂においてはちみつを集める蜜蜂には2種類あります。

それは「日本蜜蜂」と「西洋蜜蜂」の2種類です。

日本蜜蜂は販売されていないので捕まえるしかありませんが、西洋蜜蜂は養蜂問屋等などから購入できます。

「養蜂に活用される蜜蜂は2種類あって、日本蜜蜂は捕まえる、西洋蜜蜂は購入できる、ということは分かったけれど、そもそも日本蜜蜂と西洋蜜蜂の一番の違いってなに??」

となりますが、それは「蜂が巣箱から逃げてしまうか、定住してくれるか」です。

日本蜜蜂はその巣箱の環境(場所・気温・日照時間・湿度)等に不快感を感じたら、一度住み着いてくれても「逃去」してしまいます。

翻って西洋蜜蜂は、一度決めた巣箱の環境がどうであれ、そこに住み続けてくれます。

その他にも、西洋蜜蜂が集めてくるはちみつの量は日本蜜蜂の数倍であったり、養蜂の管理技術が国際的にも確立されているという違いもあります。

このような西洋蜜蜂の特性もあり、一般的に市場に流通しているはちみつは、西洋蜜蜂のものがほとんどです。

以上のような日本蜜蜂と西洋蜜蜂の違いもあり、今回は初心者の方でも始めやすい西洋蜜蜂の養蜂についてご説明します。

養蜂のお仕事の基本は内検

では、養蜂を始めることにして購入してきた巣箱に入った蜜蜂の群。最初にしないといけないことはなんでしょう??

それは「内検(ないけん)」です。

読んで字のごとく、「巣箱の査する」作業です。

養蜂の作業は細かいものを含めると様々な作業がありますが、「内検に始まり内検査に終わる」と言っても過言ではありません。

さて、そんな内検作業を行ってみましょう。

巣箱の上ぶたを開けると、巣箱内には何枚かの巣板が並べられています。標準的な巣箱で、1箱で最大10枚まで収納できます。

この巣板に集まっている蜂を点検します。

巣箱の内部に並べられた巣板

内を開けてを点検って、内のなにを点検するの??

それは、

「女王蜂がいるのかどうか」

「蜂の数は充実しているか」

「卵や幼虫は産まれており育児は進んでいるか」

の三点です。

まず女王蜂を見つけてみましょう。写真を見てわかるでしょうか??

体長が他の働き蜂より大きく、体色も飴色の蜂です。元気に動いています。

産卵できるのは女王蜂だけなので、その存在は極めて重要です。女王蜂がいないと、いずれその群れは崩壊してしまいます。

女王蜂と、周りを囲む働き蜂

それでは次に蜂の数です。巣板にそれぞれ2000匹程度の数の蜂がいてほしいところです。

2000匹程度といっても数えられませんよね。目安として、巣板があまり見えないくらいびっしりついているくらいの数が望ましい数です。

蜂の数が少なく巣板がスカスカの状態になってしまうと、育児や巣箱内の温度調整ができなくなってしまい、今後の養蜂の展開が非常に難しくなってしまいます。

茶色い蓋がされている中に、蛹が入っています

では次に、産卵・育児は進んでいるか。卵を産むことができる蜂は女王蜂だけです。最初に女王蜂がいたのは確認できたので産卵はされていると思ってしまいますが、産卵不良の女王や、突然産卵をしなくなってしまう女王蜂もときにはいます。

黄色くなっているのは花粉です。幼虫に給餌するたんぱく源として貯蔵されています。

内検のチェック項目にはその他にも、

「巣箱内で病気は蔓延していないか」
「ダニが発生していないか」
「スムシは発生していいか」
「雄蜂の数が極端に増えていないか」

などもありますが、一気すべてを覚えるのは大変です。そして春はそれらの項目は気にしなくても基本的に大丈夫です。その季節やタイミングになったら、ご案内いたします。

今回は内検の基本である

「女王蜂の確認」
「育児・産卵状況」
「蜂の数」

の3点をご案内しました。

養蜂には色々な作業がありますが、これをしっかりチェックできるようになれば、もう「養蜂家」と言っても大丈夫だと思います。

養蜂を始めるなら春がおすすめです

季節の移ろいを楽しみながらできる「養蜂」というお仕事や作業。

養蜂は一年を通してその季節に応じて行う作業なので、春からが一番始めやすい作業です。

その季節、タイミングで必要な作業は今後ご案内できたらと思います。

養蜂は技術的な難易度として、経験値が高く熟練されていないとできない、というものではありません。作業時間と作業量は趣味の範囲でも対応できます。

養蜂に少しでも興味や面白さを感じたのなら、取り組んでみるのもおすすめです。

また、自分で養蜂をやってみたいとは思っていない方にとっても、はちみつをより知ることができる楽しい記事を今後も書いていけたらなと思います。

【この記事を書いたライター】

養蜂家×ライター×WEB制作
埼玉県東松山市にて一雨養蜂園を経営中。
ライターとしては、養蜂・埼玉県・河川の特化ライター。
STUDIOにてWEB制作も。

モバイルバージョンを終了