はちみつはなぜ風邪に使われるのか?
はちみつは古代の時代からも、風邪をひいたときに摂ると治りが早く、はちみつ湯やはちみつレモンと言った形で風邪予防に愛用されています。その治りが早い理由は、どのような理由なのかという研究も進み、現在では、高い栄養価だけではなく、免疫細胞の働きも上げることが研究で判ってきました。今回はそんな、風邪をひいたときにはちみつを摂るとよいメリットを解説します。
風邪をひいたときに体内に必要な栄養素とは?
まず初めに人間が風邪をひくと、体内環境はどうなってしまうのか?特に何が不足してしまうのか?を理解することが大切です。
人間が風邪をひいてしまう原因は、細菌やウイルスが喉粘膜や鼻粘膜から体内に侵入します。侵入した細菌やウイルスが体内の栄養を使って、増殖してしまうことで本来の体の機能が阻害されることで、体に不調が出てくるのです。
咳や鼻水、痰は、空気から侵入した菌を追い出そうとする働きで、発熱は入ってしまった菌やウイルスを発熱することで増殖スピードを抑える役割を持っています。人間の体内で、増殖が始まると本来人間の体の機能に維持する栄養素が使われてしまう、壊される、臓器の働きを鈍らせます。
そのため、より多くのエネルギーを作り出すビタミンB1、B2、体の細胞分裂を助ける葉酸、免疫系の働きを良くするとされるミネラルの鉄やカルシウムがより欲するようになります。加えて、早急にエネルギーになる糖分やアミノ酸も体は必要です。
これらのビタミンやミネラルが豊富に補給すると、体の回復が早くなる、もともと風邪になりにくい体の維持が可能です。
はちみつに含まれている栄養素と糖分の性質
ここで、はちみつに含まれている有効成分を100gで示したものを紹介します。
ナトリウム | 2.0mg |
カリウム | 65.0mg |
カルシウム | 4.0mg |
マグネシウム | 2.0mg |
亜鉛 | 0.1mg |
鉄 | 0.2mg |
銅 | 0.04mg |
βカロチン | 1.0ug |
ビタミンB2 | 0.01g |
葉酸 | 7ug |
ナイアシン | 0.3mg |
トリプトファン | 2.5mg |
バリン | 5.6mg |
ロイシン | 6.3mg |
イソロイシン | 5.0mg |
リジン | 5.0mg |
参考文献
https://www.kyoiku-tosho.co.jp/b_data/correct/teisei_colorchart.pdf
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=3_03022_7
メインは、花の蜜を原料とする糖質ですが、糖分(グルコース・フルクトース・ブドウ糖)と多くの種類含まれています。加えて、はちみつに含まれているブドウ糖は、体内で一番吸収が早く、すぐにエネルギーになります。
アミノ酸もエネルギーとして使われますが、注目すべきは含まれているトリプトファンです。トリプトファンはメラトニンと呼ばれる安眠に関わる脳内物質の材料になります。不足すると人間にとって良い質の睡眠を得ることができません。風邪を治すには、睡眠の質も大きな要素となります。トリプトファンを手軽に摂取できるので風邪の安眠もサポートしてくれるのです。
また、はちみつが食べやすい理由は、含まれている糖質の種類が3種類入っていることと、アミノ酸が多く含まれていることに起因しています。人間の味覚は、多くの種類の甘みやアミノ酸が豊富に含まれているとより強く旨味を感じるようになっています。加えて脂質が一切含まれていないため、食べやすいのです。
はちみつは一度に、これほど多くのビタミン・アミノ酸・ミネラルを一度に吸収することができるため、風邪で弱っている体に最適なのです。
はちみつは免疫系細胞の働きを活発化させる
はちみつを摂取することで、人間の免疫細胞に対して免疫力を上昇させる理由を裏付ける研究結果も報告されています。京都産業大学ミツバチ産薬化学研究センターの論文によると、免疫細胞の好中球の遊走速度に関する論文によると、日本産の国産はちみつを10mg/mlの濃度の中での好中球の遊走が上がることが判明しました。
好中球は人間の体の免疫細胞で、一番に細菌やウイルスが発見されると、捕食し駆除する働きを持っています。この好中球が特定の細菌やウイルスがいる場所に、到達するために細胞間の壁を中心に移動することを遊走と言います。この遊走速度の運動性が高まると、細菌やウイルスを駆除するスピードや、他の免疫細胞が援軍が向かう速度、さらに、マクロファージやT細胞といった他の免疫細胞の活性も上がることが知られています。
はちみつ自体の栄養成分の効果の他に、好中球の遊走速度が優ることで、より早く細菌やウイルスを体内からやっつけることが出来るのです。
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201402274183011140
はちみつを風邪でひいたときに摂るコツやおすすめの種類とは?
はちみつを風邪でひいたときに摂るのにおすすめなのは、以下の3つのポイントを注意することです。
・はちみつをお湯に溶かす
・はちみつとレモンや果物とセットで摂る
・ソバやレンゲはちみつを選ぶ
はちみつをお湯に入れて溶かすメリットは、体温調節が出来ていない人間の体の温度調節機能を損なわせないことです。冷たいものに溶かすと、冷えてしまった体を温めるためにエネルギーが使われてしまいます。はちみつは熱に対して栄養素が壊れにくく長所もあるので、お湯に溶かすことで吸収スピードも早く栄養を取り入れることができます。
風邪を治すために必要なビタミンの代表であるビタミンCと一緒に摂ることで速い回復が見込めます。加えて、ビタミンCは、はちみつに含まれているミネラルの吸収力を上げるメリットもあるので、一緒に摂ることで風邪を治しやすくします。。いちごやレモンといったビタミンCが多い果物と摂ることがベストです。
先程紹介した論文によると、はちみつの中でも特に好中球の働きを良くすると言われている品種のはちみつは特にソバとレンゲはちみつという結果でした。風邪予防で、はちみつを摂りたい場合はこの2種類の品種のはちみつを選ぶのがおすすめです。
まとめ
はちみつは古くから、風邪を含む体調不調の時に良く飲まれてきました。その理由は、はちみつに含まれている糖分のブドウ糖が即急に体のエネルギーの材料として利用される他、豊富なビタミンとミネラル、アミノ酸がバランス良く含まれるからです。
特に、アミノ酸の中でも睡眠に関わる脳内物質のメラトニンの材料となるトリプトファンが豊富に含まれています。風邪を治すには摂取した栄養だけではなくて、睡眠の質も回復に関わるためその質を底上げしてくれるのです。
また、最近の研究によると、国産はちみつには好中球の遊走を早くする働きも判明し、体内に入った細菌やウイルスを見つけ他の免疫細胞を援軍として呼ぶスピードにも向上することが判明しました。
はちみつは栄養面でも睡眠の質を上げる面でも、免疫細胞の働きもあげる風邪に適した食材なのです。