はちみつはいつからOK? 子どもにはちみつを食べさせる際の基準
非常においしく栄養価が高くとろみのあるはちみつは、お子さんに与える食材として非常に適しているもののように思われます。
しかし実はこのはちみつは、小さなお子さんにとっては非常に危険なものであるといえます。
ここでは、「なぜ小さなお子さんにはちみつにを与えてはいけないのか」「何歳から与えていいのか」について解説していきます。
死亡事故もある! はちみつに含まれている成分の危険性
はちみつは大人にとって非常に有用なものです。数多くの栄養素を含み、美容効果や健康効果があるとされているものだからです。
しかし乳幼児にとっては、このはちみつは非常におそろしい毒になります。
はちみつには、ボツリヌス菌と呼ばれる菌が入っています。このボツリヌス菌は自然界に広く存在しているものなのであり、大人が口に入れても基本的には何も起きません。
しかし腸内環境がまだ未成熟である赤ちゃんがこのボツリヌス菌を摂取した場合、便秘になったり、元気がなくなってしまったり、首の座りが悪くなったりすることがあります。
小さなお子さんがはちみつ(ボツリヌス菌)を摂取したことによる事故は、日本国内・海外の両方で起こっています。
多くの場合は重篤な症状に至る前に回復しますが、ひどい場合には死亡事故にもなりえます。
2017年には、東京都内で生後半年の男の子が、市販のジュースに1日に10グラムのはちみつを混ぜ入れて飲ませられたことが原因で死亡しています。けいれんと呼吸困難を伴ったうえでのこの死亡事故は、食事を与えていた家族が、はちみつが乳幼児にとっては毒であることを知らなかったがゆえに起きたものです。
はちみつに含まれたボツリヌス菌の危険性は1987年から呼びかけられていて母子手帳にも記載されていますが、現在でもたびたび、乳幼児にはちみつを摂取させたことによる事故が起きています。
また、ボツリヌス菌はたとえ加熱したとしても死にません。そのため、「ケーキの中に混ぜ入れて焼いたから大丈夫だろう」「鶏肉のソースに使ったけれど、焼き上げたから大丈夫だろう」というようなことはありません。過熱していてもしていなくても、はちみつは乳幼児には毒になります。
何歳からなら大丈夫なの? 大丈夫になる理由はなぜ?
ここまで「子ども(乳幼児)にははちみつは毒である」としてきました。しかし子どもがはちみつを食べられない期間は、決して長くはありません。1歳を超えたら、はちみつを摂取しても問題はありません。
これは、「ボツリヌス菌は決して強い菌類ではないこと」に由来します。
意外に思われるかもしれませんが、ボツリヌス菌が腸内に入っていったとしても、これは腸内にあるほかの菌類との争いに負けます。そのため、腸がきちんと育っていて、かつ平常状態にある人ならば、はちみつを摂取しても体調不良が起こることはないのです。
子どもの成長は非常に目覚ましく、1歳を迎えるとこのはちみつも害なく消化できるようになります。基本的には体の大小に関わらず、1歳をすぎたならば問題なくはちみつを食べさせることができるようになります。そして1歳をすぎるまで成長したお子さんならば、はちみつは「危険な食べ物」のカテゴリーから外れます。もちろん食べすぎはよくありませんが、はちみつを使ったお菓子や料理を食べても問題はありません。
ただし、早産で生まれたお子さんなどの場合は1歳をすぎても独断で与えることは避けた方が無難でしょう。この場合は一度かかりつけ医に確認すると安全です。
はちみつは非常においしく、また健康的な食べ物です。しかし1歳未満のお子さんの場合は、付き合い方を考えるべき食べ物だといえます。